本当は怖い“褒め言葉”のあと
「日本にいた時とかなりイメージが違ったのは、アメリカでは働きやすいというか、ストレスを感じることが少ないんですよ。」「なせか?と考えたら、初対面でもフレンドリーで、まずは相手を褒めるという慣習があるからなんです。でも、これもやっぱり“社交辞令”なんですよ。」開発の小山も語学研修で「まず相手のことを褒めろ。その後で自分の意見を言え」と教わったという。相手を褒める、定型の褒め言葉さえ教わったと話す。「例えばトラブルの時、日本なら電話で“故障した!すぐ見に来い!”と叱責されることが多いでしょ?でもアメリカでは違う。行くとまず褒められるんです(笑)。」「トタニの製袋機はよく働いてくれる、本当に。でも…と、この後のクレームが実は怖い(笑)。」
日本と違い、海外では製袋機にトラブルが出た際には、多くの場合まずは自社のメンテナンス部門で何とか解決しようとする。結果として「どうしようもなくなって、グチャグチャになってからメーカーが呼ばれる」ことになるという。トタニの場合一人で現場に行くことが多いが、これはもちろん海外でも同じだ。「その会社のサービス担当が10人がかりで修理できなかったトラブルでも、1人で、時間がかかっても修理したという経験はたくさんあります。相手の担当者はびっくりしてましたけどね。」
相手を褒める、定型の褒め言葉さえあるのは驚きでした。
ではなぜその会社のサービス担当が10人がかりでも修理できなかったトラブルでも、1人で修理できるのか?それはトタニには製袋機を一から十まで見れる、知ることができる環境があるからだ。機械は残念ながら故障する。トタニの製袋機は開発の段階から故障しにくい、耐久性を重んじた改良を重ねている。また故障したとしても原因が早期に発見できる改善も進めている。
それでも故障した時、「その原因は機械的なものなのか電気的なものなのか、制御プログラムの問題なのかが分からないと、“製袋機全体”のことが見えていないと故障の原因は分かりにくくなる」と泉保は言う。トタニでは開発段階から担当する製袋機の一から十までを知ることが可能だ。ソフトのことも、機械構造についても、電気関係のことについても社内で知ることができる。勉強ができる。このトタニ独自の環境があるからこそ、“10人がかりで直すことができなかったトラブルでも1人で対応できる”のだ。これはトタニのモノづくりの環境があるからこそできる業(ワザ)といえよう。