Monozukuriトタニの「モノづくり」

Episode1-3

製袋機でも何でも最初から完全な機械なんてない。
設計も開発も現場から発想するから、
お客様に評価される、まねのできない製袋機が生まれる。

「ダンサー」の矛盾

小山と「連続パンチ装置」の開発に携わった設計の大西は、もう1つの大きな問題に取り組んでいた。それは「ダンサーの軽量化」。高速化が進む製袋機において、高速化の鍵となるのが「ダンサー」の改良なのだ。「フィルムを<連続流れ>から<間欠流れ>に変える装置で、柔らかなフィルムを高速で移動させるには、ここでフィルムを引っ張り過ぎずに一定のテンション(張り)を常にフィルムに与え、安定させることが必須条件なのです。」「トタニの製袋機でこの制御の重要な役割を果たしているのがダンサーなんですよ。」と大西は言う。

ダンサーは、時計の振り子のように動いてフィルムの流れを連続から間欠に高速で変換している。「ダンサーの動き、形状が適切でないと、折り込まれたフィルムの寸法精度にも影響してくる。改良のためにダンサーは径を大きくしたいんです。でもローラーが重くなると慣性力が働き、余分な動き、余分なテンションを与えることになる。」ローラーは材質変更などで軽量化が進んでいるが、だからこそ大西は「更なる軽量化と省スペース化にこだわった」のだ。

とはいえ、大きな袋をつくる製袋機もあり、ローラーの幅を詰めることはできない。「幅は変えられない、大きくしたい、強度は保たないといけない、でも軽くしたい…すごい矛盾してますよね(笑)。」大西は材質やローラーの径、配置を考え、さまざまな組み合わせを検討していった。その過程でようやく一定の見通しがついた。「強度を保ったままローラーを細くし、本数を増やすことで新しいダンサーの形ができそうでした。しかしその細くしたローラーを、どうやって軽量化したまま固定するかが最後の問題として残ったんです。」

ブレークスルーは風呂で

「この問題が実はなかなか解決できなかった。頭の中では毎日“ダンサー”が踊ってました(笑)。」ボルト固定では重量が増える、嵌め込みで固定するにも受け側の部品が重くなるなどなど…「矛盾」は解決しなかった。

大西 祐司(機器設計)

ダンサーの軽量化は矛盾への挑戦でしたね(大西)

ある日、帰宅し風呂で頭を洗っていた時だった。ふとある方法がひらめいた。「なぜかは今も分かりませんが、突如舞い降りてきた(笑)。」その“ひらめき”は「ローラーを受け側の薄い円盤状の部品に差し込んで接着する。」というものだった。早速、試作品を動かしてみると、従来のダンサー以上に滑らかに、軽やかに動いてくれる。大西は「うん、これだ!」と思ったという。この新しいダンサーはさらに改良されて製袋機に組み込まれ、更なる高速化に貢献していくことになるだろう。

「設計というと机に向かって黙々と作業というイメージですけど、トタニは現場との連携が密で、自分の図面が形になった製袋機が間近で見られる。」「自分が一から、それこそお客様との打ち合わせ、設計構想から完成まで立ち会える環境はやっぱり魅力です。何よりうれしいのは、自分が設計した製袋機のことでお客様から感謝の言葉をいただいた時ですね。」と大西は話す。


トタニは大きなメーカーではない。しかし、小さな部品ひとつから完成品の製袋機、さらには納入後のメンテナンスや改良まで、全てが間近で見られること、技術サービスも開発も設計も、それぞれの立場でかかわった成果が間近で見られ、またそこから新たな発想が生まれることを技術者たちは魅力と感じている。

「創造的夢中人」~Episode2~を読む

泉保 智彦

●泉保 智彦
技術サービス 次長  出身校:関西大学 工学部 機械システム工学科  
職歴:技術サービス~トタニアメリカ赴任(約5年)~現職

小山 哲夫

●小山 哲夫
開発 課長代理  出身校:同志社大学(大学院) 工学研究科 機械工学専攻  
職歴:技術サービス~現職

大西 祐司

●大西 祐司
機械設計 課長  出身校:立命館大学 理工学部 機械工学科  
職歴:技術サービス~現職

特集:「創造的夢中人」エピソード1

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