「ダンサー」の矛盾
小山と「連続パンチ装置」の開発に携わった設計の大西は、もう1つの大きな問題に取り組んでいた。それは「ダンサーの軽量化」。高速化が進む製袋機において、高速化の鍵となるのが「ダンサー」の改良なのだ。「フィルムを<連続流れ>から<間欠流れ>に変える装置で、柔らかなフィルムを高速で移動させるには、ここでフィルムを引っ張り過ぎずに一定のテンション(張り)を常にフィルムに与え、安定させることが必須条件なのです。」「トタニの製袋機でこの制御の重要な役割を果たしているのがダンサーなんですよ。」と大西は言う。
ダンサーは、時計の振り子のように動いてフィルムの流れを連続から間欠に高速で変換している。「ダンサーの動き、形状が適切でないと、折り込まれたフィルムの寸法精度にも影響してくる。改良のためにダンサーは径を大きくしたいんです。でもローラーが重くなると慣性力が働き、余分な動き、余分なテンションを与えることになる。」ローラーは材質変更などで軽量化が進んでいるが、だからこそ大西は「更なる軽量化と省スペース化にこだわった」のだ。
とはいえ、大きな袋をつくる製袋機もあり、ローラーの幅を詰めることはできない。「幅は変えられない、大きくしたい、強度は保たないといけない、でも軽くしたい…すごい矛盾してますよね(笑)。」大西は材質やローラーの径、配置を考え、さまざまな組み合わせを検討していった。その過程でようやく一定の見通しがついた。「強度を保ったままローラーを細くし、本数を増やすことで新しいダンサーの形ができそうでした。しかしその細くしたローラーを、どうやって軽量化したまま固定するかが最後の問題として残ったんです。」